130329_142307 フジコに続き、真梨幸子作品二点。

中古本屋で「みんな邪魔」(「更年期少女」の改題らしい。更年期少女ってタイトルめっちゃパンチあっていいと思うのになぁ~。更年期からのタタキがあるのかしら)を購入。そのついでにデビュー作の「孤虫症」も。

どちらもはしがきや概要は少々読んでからの読了。←ネタバレでも平気なタイプ 

「みんな邪魔」は、とある昔流行った大河少女漫画「青い瞳のジャンヌ」(イメージ的には「王家の紋章」みたいなのかなぁ~)のファンサークルの幹部会「青い6人会」で起きる事件のおはなし。

この人の作品って基本的に人の殺害現場とかは詳しく書かない(あまりにもあっさり「はい死んだー」となるので逆にあっけにとられることも)のでグロシーンとかはそんなにないと思うんだけど、生きてる人間のいやらしさみたいなのを書き込むのが上手い。

6人会のコアなファンたちがね、揃いも揃って問題ありな方々で。

ミレーユこと稲子と兄妹、要介護の母親との件なんか本当に嫌気がさす。でも大なり小なり結構身に染みちゃう人多いと思うよ?

うちも母親は最後の方認知症的症状出てたんだけど、癌が脳に転移したからだったのね。リンパ性なので全身色々なところに出来てたんだけど、癌という「将来が見える」状態だったから看てられたところはあるかもしれない。実際、症状が出て二ヶ月で全てが終わった。

末期のガンだから病院に入院できてたし、痛い!とか殺す!とか意味不明なこと叫んだり暴れたりしたらモルヒネっていう手段があったからね。
もし、あれを家庭内で家族だけでいつまで続くのか、なんて考えながら看るのは耐えられなかったかもしれないね。すいません。ミレーユしちゃうかもしれません、私。自信はない!

稲子は家族の鼻つまみもので、50前になっても親のすねをかじって家事もせず、パチンコしかやることのないニートなんだけど親とは共依存状態。
元気なうちはいいんだけど、父が死に、母親が体を壊して寝たきりになったあたりから怪しくなっていく。

兄や妹は耳に触りの良い正しいことを言うが行動は伴わない。
稲子自体は考え方も行動も幼稚で自分本位。計画性は一切なく、こらえ性もない。仕事もあっという間にやめる。悪いのは全部社会、他人、家族。

誰にも賛同できない兄妹だけど、母ちゃんも良くないんだよね~この家。なんていうか、兄と妹二人を少しづつ足したのがこの母ちゃんだ。
「どうしてこんな子になったんだろう」というが、自分にそっくりなだけなのだ。
でも同情すべき点は、最後まで精神がはっきりしていたところ。むしろ認知症で要介護とかのほうがまだマシだったのかもね、お母ちゃんの場合。子供たちに遠慮して、厄介者な自分の立場を自分で弁えてしまうからどんどん立場も居場所もなくなっていく・・・

年金目当てに稲子が親を引き取るというがま~~自分のことすらマトモにできない稲子が、当然寝たきりの親の介護などできるわけがなく当たり前のような悲劇の展開に・・・という顛末。

最初に父親死んだ時にマンション売って老人ホーム、じゃダメだったのかね?
遺産などは計算に入れないのが一番確実な人生設計だということがよくわかる章でしたヽ(;▽;)ノ

借金まみれなのに豪華な暮らしをやめない虚言癖のボッシー&ナマポのシルビアさん、 DV夫に悩むエミリーさん。高齢出産をする予定のセレブ妻ジゼルさん。家庭不和と胃痛に悩む会のリーダー、マルグリッドさん。そして界のアイドル的存在、ガブリエルさん。

個人的にはもっと作者との確執を書いて欲しかったかも。
「ミザリー」ほどじゃないけど、コアなファンの身勝手さとか、集団心理の行方とか。もっと詳しい書き込みあっても良かったなぁ。。。



「孤虫症」はデビュー作でメフィスト賞。
あ~~ちょ~~菊地秀行っぽい!と納得。

良かったですよ。ただ謎解きが全て会話シーンなのは萎え萎えするけど、まぁ謎なんて解けても解けなくてもあんまり関係ないような話なのかもしれない。 

荒削りだけど魅力的、そんなデビュー作だと思います。